開所時期はいつが最適?制度変更を踏まえたタイミングを解説
就労支援事業の開所って、いつがいいんだろう....
年度切り替えや制度改正の影響なども考慮しながら進めていくのがポイントです。詳しく見ていきましょう。
就労支援事業の立ち上げを考える際、「いつ開所するか」というタイミングは、事業の進めやすさに大きく影響します。
制度改定の時期や行政との調整期間、採用活動、就労支援サービスを利用する方(以下、利用者)の募集時期など、複数の要素が関係してくるためです。
ここでは、開所時期を検討するうえでの主な視点や、スムーズに準備を進めるためのスケジュール調整のコツを解説します。
結論:おすすめの開所時期は「年度切り替え+制度改定実施後」
就労支援事業の開所は、年度初めの制度改定が落ち着いたタイミングが、準備や運営が進めやすいとされています。一般的には4月〜7月頃に開所するケースが多く、この時期であれば行政手続きや職員採用、利用者受け入れ、報酬制度への対応などが比較的スムーズに行いやすい傾向があります。
ただし、事業の規模や地域特性、準備の進み具合によっては、他の時期のほうが適している場合もあります。開所のタイミングはあくまで目安として捉え、状況に応じて柔軟に判断するのが良いでしょう。
開所におすすめの時期
開所のタイミングは事業運営に大きな影響を与えるため、慎重に検討する必要があります。
ここでは、開所時期ごとのメリット・デメリットを整理しながら、特におすすめのタイミングについて解説します。
開所時期ごとのメリット・デメリット
開所時期によって、メリット・デメリットが異なります。主要な時期を比較すると以下のようになります。
| 開所時期 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 4月〜7月 | ・年度切り替えや制度改定に合わせた運営設計が可能。 ・採用市場が活発で、職員の確保がしやすい。 ・新規利用者の受け入れもしやすい。 | ・年度初めは他事業所の開所・採用ラッシュと重なる場合があり、競合が増える可能性がある。 ・準備期間が短いと、物件選定や申請手続きがタイトになる場合がある。 |
| 8月〜11月 | ・夏季や年度途中の開所により、競合が少ない地域では利用者獲得がしやすい場合がある。 ・9月〜10月の転職シーズンは求人市場が活発化するため、優秀な職員を採用しやすい。 | ・制度改定や予算変更に合わせた運営設計が難しくなる場合がある。 ・転職シーズンのピークを外すと、職員の応募者が少なくなる可能性がある。 |
| 12月〜翌3月 | ・年度末に開所する場合、準備期間を長く確保できる。 | ・新年度の制度や予算変更に合わせた運営が難しい。 ・行政手続きや利用者募集のタイミングが制約されやすい。 |
開所時期を決めかねているなら、4月〜7月がおすすめ
年度切り替えと制度改定の実施時期が重なる4月〜7月は、特に開所しやすい時期とされています。主な理由は以下の通りです。
年度切り替えのタイミング
4月は福祉業界における新年度のスタートで、多くの福祉サービスが新たな予算や支援計画を開始します。利用者も新年度に向けて支援サービスを見直すことが多く、このタイミングで開所することで、新規利用者の受け入れが比較的スムーズに進みます。
また、行政側も年度初めの手続き準備が整っている場合が多く、開所に伴う申請や届出が円滑に進む傾向にあります。
制度改定や報酬改定が行われるタイミング
制度改正や報酬改定は、毎年4月に実施されることが一般的です。報酬改定は前年の12月〜1月に決定され、4月から新しい報酬体系が適用されます。大規模な制度改定もこの時期に合わせて実施されることが多く、4月〜7月の開所であれば、制度変更に対応した運営設計が行いやすくなります。
特に、加算制度や報酬体系に沿った業務フローを最初から整えることができるため、事業開始後の安定運営にもつながります。
採用市場の動き
採用市場では、4月入社を目指す転職者が多く、求人活動は前年の秋〜冬(9月〜12月)に始まり、1月〜3月にピークを迎えます。4月〜7月に開所する場合、この時期の採用活動を活用することで、必要な職員を確保しやすくなります。
特にサービス管理責任者や専門職の採用では、応募者が多い時期に活動すると有利です。開所準備を余裕をもって進めつつ、必要な職員を確保できる可能性が高まります。

ただし、事業の状況や地域の特性に合わせることも重要
4月〜7月は有力な選択肢ですが、必ずしもすべての事業に最適というわけではありません。
物件契約のタイミングや、利用者層、地域の競合状況、行政支援の有無、事業規模などを踏まえ、最も効果的なタイミングを選ぶことが重要です。
また、あえて競合が少ない時期や地域特性に合わせた開所で、利用者獲得の機会を広げられる場合もあります。成功の鍵は、地域の実情と事業環境に合わせた柔軟なタイミング設定にあります。
開所を円滑に進めるためのタイミングとポイント
事業所の開所タイミングは、その後の円滑な運営に大きな影響を及ぼします。
特に、行政手続き、採用活動、職員研修、そして利用者募集のタイミングは、開所後の立ち上がりにおいて重要な要素です。これらの要素を適切な時期に調整し、余裕を持って準備することで、事業開始時の安定性が大きく向上します。
ここでは、開所を円滑に進めるために押さえておきたいポイントを具体的に解説します。
行政との調整期間を見越したスケジュールが必要
就労支援事業の開所には、指定申請などの行政手続きが不可欠です。書類準備から現地調査、審査完了までには、通常3〜5か月の期間が必要です。このため、開所を予定しているタイミングを逆算して計画を立てることが非常に重要です。特に、年度末や年度初めは行政窓口が混雑する時期であり、4月などの節目の月に合わせるには、早期に手続きを開始する必要があります。スムーズな開所を目指すためには、早めの着手と余裕を持ったスケジュール調整が欠かせません。

採用活動・職員研修のポイント
就労支援事業所では、サービス管理責任者などの専門職の配置が必須です。転職シーズン(1月〜3月、9月〜10月)は求人市場が活発になり、経験豊富な人材を確保しやすい時期でもあります。このタイミングを逃さず採用活動を進めることは、事業開始に向けて大きな強みになります。
また、専門職であっても新しい事業所で働く際には、その環境やルールに慣れる時間が必要です。福祉支援の基本スキルに加え、事業所独自の運営方針やマニュアルを共有し、現場での対応を想定した準備期間を設けることが大切です。開所の1〜2ヶ月前からこうした導入研修を始めることで、立ち上げが円滑になり、安定したサービス提供につながります。
利用者獲得と通所開始に向けた広報活動のタイミング
就労支援事業所では、利用者が年度単位でサービスを見直す傾向が強く、特に3〜4月や9〜10月は新しい事業所を選ぶタイミングとして注目されています。
特に、若年層の利用者がターゲットの場合、卒業後の支援ニーズが高まる時期(3〜4月)に合わせた広報活動が重要です。このタイミングで広報を行い、卒業後に新たな支援を求める若年層をターゲットにすることで、利用者の獲得がしやすくなります。
そして、広報活動は、開所の1ヶ月前には始めるのがおすすめです。この時期から情報を発信することで、事業所の認知度を高め、新規利用者の獲得を目指すことができます。
ただし、障害福祉サービス事業所として行政からの指定許可が下りていない段階における施設の名称や詳細なサービス内容を大々的に公にすることは避けましょう。 指定許可とは、法律上事業を開始できることを正式に認めるもので、事前の告知や広報活動は、この指定許可を得た後に行うことが望ましいです。
具体的な広報活動としては、パンフレット配布や地域イベントへの参加、ウェブサイトやSNSでの情報発信などです。さらに、広報活動の一環として、施設内の内覧会やオープンイベントを開催することも効果的です。開所前に見学の機会を設けることで、利用者は現場の雰囲気を体験でき、安心して通所を検討することができます。
このように、広報活動や通所開始の準備を事前にしっかりと行うことで、開所後の利用者獲得やサービス提供の安定性を確保することができます。
開所までのスケジュール例
事業を成功に導くためには、計画的にスケジュールを立て、確実に準備を進めることが欠かせません。開業までの道のりは一歩一歩の積み重ねです。ここでは、4月開所を目指す場合の最短スケジュールを基に、具体的な準備プロセスを紹介します。
(このスケジュールは、事業の特性や対象により、必要な調整が発生する可能性がありますので、あくまで参考としてご覧ください。)
4月開所を目指す場合(11月〜準備スタート)
【11月】物件選定、事業計画作成
開業に向けた準備は、物件選定や事業計画の作成など、複数のステップを並行して進めることができます。まず、事業の基盤となる物件選定では、利用者や地域のニーズに合った立地条件、集客のしやすさ、施設の広さや設備などを慎重に検討します。物件の目処が立った段階で、開業後の予算や職員数、業務フローなどを整理した事業計画書を作成し、事業の方向性を明確化します。これにより、開業準備が効率的に進むだけでなく、開所後の運営にもスムーズにつなげることができます。
※フランチャイズに加盟する場合は、事業を始める意思が固まった段階で、加盟契約を結ぶのが一般的です。契約後は、本部のサポートを受けながら物件選定や開業準備を進めることができる場合があります。
【12月〜1月】行政との事前協議、職員募集
12月から1月にかけて、行政との事前協議を進め、必要な許認可や書類手続きを準備します。この期間は、年度末の繁忙期と重なるため、行政窓口が非常に混雑する可能性があります。そのため、12月初旬から中旬には窓口と連絡を取り、必要書類の確認や申請手続きのスケジュールを調整しておくことが重要です。早期に対応を始めることで、繁忙期を避け、スムーズに事務手続きが進みます。
また同時期に、サービス管理責任者などの有資格者や、職業指導員を含む職員の採用を開始します。
【2月】指定申請、採用確定、研修開始
2月には、事業所を正式に開所するために必要な「指定申請」を行政に提出します。これは、法律に基づき事業を行うための手続きであり、承認を得ることで事業を正式にスタートさせることができます。
同時に、採用活動においては職員の最終決定を行い、研修を開始します。研修では、福祉支援や利用者対応の基本に加え、事業所のマニュアルや運営フローについても指導し、開所後に業務をスムーズに行うために必要な知識やスキルを身につけてもらいます。
【3月】備品・マニュアル整備、利用者募集・内覧会
3月に入ると、備品や施設整備が本格化します。事業所に必要な機材や備品を整え、マニュアルや運営ガイドラインを最終調整します。利用者募集を開始し、内覧会やオープニングイベントの準備も進めます。これにより、開所日にはスムーズに運営を開始できる状態になります。
【4月】開所、通所スタート
いよいよ開所の日を迎え、初回の利用者を受け入れます。事業所の運営が本格的に始まり、職員全員が一丸となって利用者支援を行います。ここまでの準備が万全であれば、開所後もスムーズに運営していただけます。

まとめ:開所スケジュールは「制度」と「人の動き」に合わせる
事業所の開所タイミングは、事業運営に大きな影響を与える重要な要素です。立ち上げを成功させるためには、制度のスケジュール(報酬改定や行政手続き)と、人の動き(採用市場や利用者の流れ)をうまく調整することが不可欠です。
計画的に準備期間を確保することで、採用活動・職員研修・行政手続きなどの各ステップを効率的に進めることができます。特に、開所までの半年〜8か月間を十分に活用し、必要な手続きを早めに終わらせておくことで、事業をスムーズに立ち上げることが可能となるでしょう。
開所時期は、制度変更や人の動きを考慮することが重要なんですね。
はい、その通りです。無理なく準備できるタイミングを選びながら、私たちもスケジュール作成の段階からしっかりサポートいたします。
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