助成金を最大限に活用するには?就労支援事業で使える制度と申請のポイント
開業する時に使える助成金はあるかな?
就労支援事業では開業や運営に使える助成制度がいくつかありますよ。条件や手続きも含めて、ご紹介します。
開業を検討する段階で「資金面の不安」は多くの方が抱える課題です。特に未経験からのチャレンジとなると、制度や支援の全体像が見えにくく、事業計画に自信を持てないという声も多く聞かれます。
そんな時に心強いのが、公的な「助成金制度」の存在です。助成金は、一定の条件を満たせば返済不要で受け取れる支援であり、初期投資や運転資金の負担を軽減し、事業のスタートや安定運営を後押ししてくれます。
※助成金の種類や要件は地域や年度によって異なるため、実際に活用を検討する際には、自治体や関係機関に最新の情報を確認してください。
助成金は「お金」以上の武器になる
就労支援事業所の立ち上げにおいて、助成金は単なる「お金の補填」ではなく、事業計画の実現性を高めるための大切な基盤です。資金面の不安を軽減するだけでなく、制度設計や支援の方向性を見直す機会にもなります。
特に初めての開業では、「どの制度が自分の事業に合っているか」「申請に必要な準備は何か」など、不明点も多くなるもの。そうした時には、一人で抱え込まず、自治体の窓口やフランチャイズ本部、士業専門家などのサポートを積極的に活用しましょう。
また、助成金の申請過程は、事業内容や将来計画を具体的に整理・言語化するきっかけにもなります。事業計画書や収支予測などを精緻に作成することで、開業後の運営判断にも役立つ羅針盤となるでしょう。
目次
助成金を活用すべき理由

なぜ就労支援事業で助成金が重要なのか?
就労支援事業所は、福祉と雇用支援を組み合わせた構造のため、立ち上げ時に必要な設備投資や人材確保に一定の資金が必要です。また、報酬制度の入金サイクル(原則2か月遅れ)の仕組上、開業初期には資金繰りがタイトになるケースも少なくありません。
こうした背景から、助成金を活用することで「初期費用の圧縮」や「無理のない運転資金確保」が可能になります。さらに制度によっては、「人材育成」や「設備拡充」「ICT導入支援」など、事業拡大フェーズでも活用できるものがあります。
加えて、助成制度の多くは「課題解決型」の視点に立って設計されており、支援の質向上・労働環境改善・地域連携強化などを目的とした取り組みにも活かせます。助成金は短期的な補助にとどまらず、中長期的な事業基盤の強化に寄与する制度として捉えることが大切です。
実際に活用されている助成金
よく使われている助成金の種類と特徴を解説
助成金と一口に言っても、対象となる目的や申請条件はさまざまです。ここでは、就労継続支援A型・B型および就労移行支援の開業や運営において、特に活用されやすい制度を中心にご紹介します。どの制度が自分の計画に合っているのかを把握し、目的に応じた活用戦略を立てていきましょう。
1:キャリアアップ助成金(厚生労働省)
非正規雇用の職員を正社員化した際などに活用できる制度。安定した人材確保や職員の定着を支援する制度として活用されています。
・対象:非正規雇用者を正社員化した事業者
・補助内容:1人あたり数十万円の支給(条件により異なる)
2:特定求職者雇用開発助成金
障害者を雇用した場合に支給される助成金で、就労継続支援A型の運営において特に対象となりやすい制度です。(B型や就労移行支援は、利用者が雇用契約を結ばないため対象外。)
・対象:ハローワーク等の紹介により障害者を雇用した事業者
・補助内容:雇用1人あたり最大240万円(期間・雇用形態による)
3:働き方改革推進支援助成金
職場環境の改善や業務効率化を目的とした設備導入、人材育成、テレワーク導入等に対する支援。
・対象:業務改善や人材育成に取り組む中小事業者
・補助内容:IT機器購入費、研修費など(上限あり)

4:地方自治体による独自制度
多くの自治体では、国の助成制度に加えて独自の補助金や奨励金制度を用意しています。開業支援や人材雇用、移転補助など、地域の実情に即した支援が期待できます。
・対象:各自治体の指定要件を満たす事業者
・補助内容:自治体により異なる(例:設備費補助、雇用奨励金、研修費補助など)
助成金の活用例
ここでは、助成金を活用して開業や運営を進めた就労支援事業所の具体例をご紹介します。
【例1】B型事業所の開業時に活用したケース
ある地方都市でB型事業所を開設したケースでは、以下のような支援を活用して初期投資を抑えることができました。
・地元自治体の施設整備補助(改修費の50%を補助)
・初期雇用人材に対して特定求職者雇用開発助成金を活用
・ITツール導入に対して国の補助金を併用(業務効率化)
これにより、総投資額の約3割を助成金でまかなうことができ、開業のスムーズなスタートに大きく寄与した結果となります。
【例2】キャリアアップ助成金を活用した人材定着の取り組み
都市部で運営されている就労継続支援A型事業所では、職員の定着率向上を目的にキャリアアップ助成金を活用しました。
具体的には、契約社員として採用していたスタッフを、一定の支援計画と評価制度を整備したうえで正社員化。その際、キャリアアップ助成金の支給対象となり、1人あたり数十万円の補助を受けることができました。
この取り組みにより、スタッフのモチベーションが向上し、長期雇用につながっただけでなく、サービスの質も安定しました。
また、助成金の活用を通じて職場環境や人材育成体制を見直すきっかけにもなり、今後の運営基盤強化にもつながっています。
申請時に押さえておきたいポイント
助成金を活用する際には、次のようなポイントを押さえておくとスムーズです。
●「事前申請」が必要な制度が多い(後からの申請では受理されないケースあり)
●書類整備や記録の一致が求められるため、事業開始前から計画的な準備が重要
●地域によっては独自の助成制度が存在するため、自治体や支援センターへの相談も有効
●担当者との連携や説明の丁寧さが、審査に良い影響を与えることも
特に初めての申請では、何をどう準備すればよいか戸惑うことも多いため、専門家やフランチャイズ本部の支援を受けることで、ミスや見落としを減らしやすくなります。
また、助成金活用においては「定期的な情報収集」が不可欠です。制度内容は年度ごとに更新されることが多く、新たな補助金が追加されることもあるため、自治体の公式サイトや業界団体の情報を定期的に確認しておく習慣が役立ちます。
まとめ:助成制度を活かして無理のない開業を
就労支援事業は、制度や支援の正しい理解と活用が、経営の明暗を分けると言っても過言ではありません。なかでも助成金は、初期段階の運営を支える柱のひとつであり、上手に活用することで事業リスクを大きく軽減することが可能です。
また、助成制度は「支援力の強化」にも直結しており、職員の研修・育成、人材確保、業務効率化のためのITツール導入、地域連携体制の整備など、事業運営の基盤づくりに幅広く活用できます。
特に未経験からの開業を検討している方にとっては、こうした制度を取り入れることで、着実にステップを踏みながら成長していく運営スタイルを築きやすくなります。
なお、助成金制度は年度ごとに内容が見直される場合があるため、常に最新の情報を確認することが大切です。あわせて、自治体や専門家、経験者などとのつながりを活かすことで、より確実な制度活用が可能になるでしょう。
(記事の更新:2025年7月)
助成金があれば、資金面の不安も少し和らぎそうです。
制度をうまく活用すれば、無理のないスタートができますよ。一緒に準備を進めていきましょう。
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